コラム

建築家と家をつくる。暮らしにゆとりを生む「距離」と「余白」

吹き抜けと大きな窓から光と緑を取り込む住宅のリビング

心地よい住まいには、「距離」と「余白」があります。
効率よく整えられた空間よりも、ほんの少しのゆとりがあることで、時間は穏やかに流れていきます。
周囲の環境や家族との関係を、心地よく整える住まい。
建築家との家づくりには、そんな住まいを実現できる魅力があります。

賃貸住宅で気づいた、距離と余白の大切さ

私自身、かつて賃貸住宅に暮らしていました。動線は合理的で、部屋も過不足なく配置された、いわゆる「よくできた間取り」でした。

しかし、長く過ごすうちに、どこか呼吸が浅くなるような感覚がありました。家族それぞれの居場所はあるものの、仕事をする場所、家族と過ごす場所、一人で落ち着く場所が近く、気持ちの切り替えが難しかったのです。

そのとき、初めて余白の大切さに気づきました。距離があるからこそ、家族との関係や自分の気持ちを整えられる。そんなゆとりが、暮らしには必要だと実感しました。

余白がもたらす暮らしの変化

リビングの窓から中庭を望む住宅空間

賃貸住宅では、家具の置き方や動線がある程度決まっており、生活が空間に合わせられているような違和感もありました。

そのため、自宅を設計する際は、暮らしが柔軟に変化し続けるよう、あえて空間に余白を残しました。実際に暮らしてみると、何もしない時間の質の違いに気づきました。光や風を感じながら、ただ椅子に腰をかけるだけでも心地よいのです。

なかでも、休日の朝、ゆっくりと光が満ちていく室内で家族と過ごすひとときが気に入っています。私は庭を眺め、妻は本を読み、子どもは少し離れた場所で遊んでいる……。同じ空間にいながらも、ちょうどいい距離で時間を共有できるようになりました。
そして、「食べる」「寝る」といった行為のための住まいから、時間の流れを受け止められる住まいへと変わりました。

距離が関係性を心地よく調整する

ただ、距離と聞くと、動線が長くなるなどネガティブに捉えられることも少なくありません。けれども、古来より日本の住まいにおいて、「間」は非常に大切な要素でした。
たとえば、縁側は庭と住まいをつなぐ間として、外と内の関係を調節する役割を担います。直射日光を和らげ、景色を絵画のように見せることで、自然の気配が生活の一部になります。

距離は、人との関係においても大切な要素です。家族との心地よい距離感は、常に一定ではありません。気持ちや状況によって、近づきたいときもあれば、少し離れたいときもある。そうした関係を調整できる余白を持たせる設計も、住宅には必要だと感じています。

距離と余白を設計する、建築家という存在

両側の窓から光が入る住宅の広い廊下

住宅設計には、あらかじめ用意された型をもとに、要望を効率よく入れていく方法もあります。その場合、距離や余白は後回しにされることもあります。

一方、建築家には決まった型はありません。対話を重ねて、環境や家族にとって最適なかたちを設計していきます。
「もしかすると、こんな暮らしになるかもしれない」
そんなふうに想像を膨らませながら、意図的に距離や余白を空間へと落とし込んでいきます。そこに、建築家と家をつくる意味があるのではないでしょうか。

ゆとりを生む住まいの設計

ひとことに距離や余白といっても、単に空間を広くするのではありません。周囲の環境や家族との関係を踏まえながら、さまざまな設計によって生み出されます。

外との関係をつくる「中庭」

光と風、空を取り込む住宅の中庭

建物の中心に空が生まれる中庭は、光や風を通して、季節や時間の移ろいを室内に届けてくれます。すぐそばに自然環境がある日常は、何事にも変えがたい贅沢だと考えています。

内と外をつなぐ「土間」

リビングと玄関、庭をつなぐ住宅の土間空間

玄関から室内、そして庭をゆるやかにつなぐ土間は、通路にも居場所にもなります。用途を限定しない“ゆるさ”が、空間の可能性を引き出し、暮らしに広がりをもたらします。

縦の余白を生み出す「吹き抜け」と「段差」

吹き抜けと階段が縦の広がりを生む住宅空間

平面だけでなく、高さ方向の広がりを生む吹き抜けや段差も、余白のひとつです。視線の高さをほんの少しずらすだけでも、家族との関係に変化が生まれます。

自然を室内へと導く「窓の位置」

空と緑を望む住宅のリビングの窓

周囲の環境を丁寧に読み解きながら、光と距離を設計し窓を設えます。周囲からの視線をかわしながら、光や景色を室内へと導きます。

建築家とともに、時間をかたちにしていく

距離と余白は、周囲の環境や家族との関係を整えてくれるものです。
家族と過ごす時間も、自分の時間も大切にしたい。そう感じている方は、建築家との家づくりが向いているかもしれません。

「この家で、どのような時間を過ごしたいですか」

私たちはこの問いから、まだ言葉にならないひとときをかたちにしていきます。

住まいづくりやその他建築計画のことについて夢やご希望、ご予算、悩まれていること等どんなことでも構いませんので先ずはお気軽にご相談ください。